事務所だより
労務DD関係
労働時間制度の選定は、労務リスクを左右する「経営判断」です
働き方の多様化が進む中、労働時間制度の選定・見直しは、単なる制度設計ではなく「経営方針の一部」といえる時代になっています。
特にスタートアップや成長企業では、「柔軟な制度=人材確保」だけでは済まされず、法的リスクとのバランスが極めて重要です。
〇考慮すべき事項 管理監督者制度 〜誤解が多い“裁量のある立場”〜
管理監督者として労働時間の適用除外とするには、以下の3要件をすべて満たす必要があります:
・経営者と一体的な立場にある
・出退勤を自己の裁量で決定できる
・相応の待遇が保障されている(年収や役職手当など)
「役職が部長だから」「裁量労働に近い働き方だから」といった理由だけでは要件を満たしません。 誤った運用は、未払い残業代リスクにつながります。
上記の労働基準法が規定する管理監督者を置くかどうかを先ずは判断する必要があります。そのうえで、下記の労働時間制度の適用を検討することになります。
選択肢① 通常の労働時間制度(時差出勤含む)
明確な始業・終業時刻を定めた、もっとも一般的な制度です。最近では、「時差出勤制度」を組み合わせる企業も増えており、出社ラッシュの回避やライフスタイルへの柔軟対応に有効です。
ただし、出退勤の実績管理(勤怠システム等)と就業規則の整合性が極めて重要です。
選択肢② フレックスタイム制度 〜導入には慎重な検討を〜
フレックス制度は柔軟性の高い制度ですが、導入要件や運用体制の整備が必須です。
・清算期間・総労働時間の設計
・コアタイム・フレキシブルタイムの適切な設定
・就業規則や労使協定の整備
・会議体・定例業務との整合性確認(実質的な所定労働時間になっていないか)
制度と実態のズレ”があると、制度そのものが否定され、法的リスクを抱える原因となります。
〇雇用区分ごとの適切な制度適用も忘れずに
正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなど多様な雇用形態がある場合、それぞれに制度をどう適用するかの設計が求められます。
・雇用契約書と就業規則の整合性
・所定労働時間・休日数の違い
・社会保険適用要件の確認
・無期転換ルールとの関係
〇今こそ、制度の「見直しと再設計」を
制度は導入したら終わりはありません。
成長フェーズ・組織構造の変化・従業員の構成に応じて、定期的に制度を見直すことが、労務トラブルの予防につながります。
必要に応じて、「制度設計支援」「運用状況のチェック」「規程整備」などもワンストップでサポートしております。
制度の選定に迷われたら、ぜひお気軽にご相談ください。初回は無料相談を実施しております。
労務DD関係
コアタイム外の「定例会議」が多すぎる?〜フレックスタイム制の落とし穴〜
働き方改革や生産性向上の文脈から、「フレックスタイム制」を導入する企業が増えています。とくにIT企業やスタートアップを中心に、「社員が自分で始業・終業時間を決められる柔軟な制度」として定着しつつあります。
しかし、その“柔軟性”、本当に制度として機能していますか?
■ フレックス導入企業に多い「実態のズレ」
労務DD(労務デューデリジェンス)の現場でよく見かけるのが、次のようなケースです:
・就業規則・協定上はフレックスタイム制を導入している
・コアタイムは「11:00~15:00」と明記されている
しかし実際には「毎朝9:00に全社会議」「18:00に進捗共有ミーティング」などが日常的に設定されている
これでは、制度上は自由に出社・退社できるはずが、実態としては“全員が9:00〜18:00で働かざるを得ないという状況になっています。
■ “実質的な所定労働時間”とみなされるリスク
このように、コアタイム以外の時間帯に定期的・継続的な会議や朝礼が設定されている場合、「実質的にフレックスタイム制が成立していない」という指摘を受ける可能性があります。
特に、毎朝の定例ミーティングが8:30や9:00にある場合、「事実上の始業時刻」とみなされる可能性が高く、制度としての正当性が揺らぎます。
■ フレックス制度の真の柔軟性を守るために
制度が「名ばかり」にならないためには、次の点に注意が必要です。
〇コアタイム外に定期的な会議・業務指示を設定していないか
〇定例ミーティングが「任意参加」になっているか(実質強制でないか)
〇会議は業務の支障がない限り、コアタイム内に集中させる
■ 制度と実態が一致してこそ「労務リスク」は回避できる
フレックスタイム制は、企業にとっても社員にとっても有益な制度です。
ただし、そのメリットを最大限に活かすには、「制度設計」と「実態運用」の整合性が不可欠です。
「コアタイムは形だけ、実際は全員が9時から勤務」
そんな状態では、法的な制度としては成立していないと判断されても仕方ありません。
■ 最後に
柔軟な制度を整えたつもりでも、実際の運用にズレが生じるのはよくあることです。
今一度、フレックスタイム制の運用実態をご確認ください。
スタートアップ経営者の皆さまへ
午後の30分、少しだけ「労務のこと」、話してみませんか?
起業初期は、プロダクト、営業、資金調達と忙しく、
「労務」や「就業規則」「雇用契約書」などは、
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✔ フレックスタイム制の導入方法が正しいかわからない
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お知らせ
【IPO準備企業向け】労務簡易診断メニューを公開しました!
― 福岡プロマーケットやTOKYO PRO Marketへの上場を目指す企業の皆さまへ ―
近年、プロマーケットへの上場を目指す企業の間で、「労務管理体制の整備」が注目されています。上場審査基準としては厳格なルールが求められていない場合でも、未払残業・就業規則の不備・業務委託契約の実態などがIPO準備を阻む「見えない壁」となることも少なくありません。
当法人では、これまで多数のIPO支援実績をもとに、プロマーケットを目指す企業様向けの『労務簡易診断メニュー』を作成いたしました。J-AdviserやVCからの信頼性向上にもつながる、実践的な内容です。
〇労務簡易診断メニューの一部をご紹介します
・労働時間管理 タイムカード/勤怠と実態の乖離確認、クラウド給与の内部設定確認
時間外計算等確認
・就業規則・諸規程 最新法改正に適合しているかの確認
・雇用契約管理 業務委託/契約社員の契約実態の確認
・ハラスメント、衛生体制、ストレスチェック、衛生委員会などの整備確認など
〇本サービスの活用シーン
・福岡プロマーケットまたはTOKYO PRO Market上場を検討している
・J-Adviser、F-Adviserや証券会社から「労務体制の整備が必要」と言われた
・IPO準備の中で、内部統制やガバナンスの整理に不安がある
・上場前に、外部の社労士から第三者チェックを受けておきたい
〇社労士法人としての私たちの強み
東証関係IPO支援実績多数(労務DD・規程整備・相談対応)
上場企業との顧問契約実績多数
弁護士・会計士等とのチーム体制で上場準備を支援
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〇お問い合わせ
ご希望の方には、無料簡易診断も承っております。お気軽にご連絡ください。
事務所だより
7月号 〇中小企業の同一労働同一賃金 〇年次有給休暇の取得状況について 〇事務所スタッフより
労務DD関係
「フレックスタイム制」の労使協定未締結 〜柔軟な働き方が、法令違反に?〜
近年、働き方の多様化にともない、「フレックスタイム制」を導入する企業が増えています。特にスタートアップや成長企業では、「社員に自由な時間管理を任せている」「コアタイムなしで働いてもらっている」など、柔軟な制度をPRするケースも少なくありません。
しかし、その制度、本当に“フレックス”として成立していますか?
■ フレックスタイム制には「労使協定」が必須
フレックスタイム制を導入するには、必ず労使協定の締結が必要です(労働基準法第32条の3)。この協定では、以下のような項目を定める必要があります。
・清算期間の長さ(例:1か月以内)
・清算期間における総労働時間
・標準となる1日の労働時間 など
この労使協定がない場合、たとえ現場で「フレックスタイムっぽい」運用がなされていても、労基法上は成立しておらず、違法な労働時間管理となってしまいます。
■ 労務DDでも「協定未締結」や労使協定の不備は頻出パターン
労務デューデリジェンスの現場では、「フレックスにしています」と話す企業の多くで、実際に協定を確認してみると…
・協定自体が存在しない
・協定に必要な項目が欠落している
といったケースが頻繁に見受けられます。
制度として導入したつもりが、単なる「裁量的な勤務時間の許容」にとどまり、法的には何の裏付けもない状態となっているケースがあります。
■ 柔軟な働き方には「土台となる制度設計」が必須
働きやすさを実現するための制度こそ、法的な手続きを踏んだ設計と運用がセットで求められます。
フレックスタイム制の導入をお考えの企業、あるいは既に導入済みの企業も、次の点を今一度ご確認ください。
〇フレックスタイム制の労使協定を締結しているか
〇協定には必要な項目が記載されているか
■ 最後に:制度と実態の整合性が重要
「フレックスタイム制」と名乗ること自体は簡単ですが、制度の裏付けがなければ、残業代トラブルや労働基準監督署からの是正勧告につながるリスクがあります。
労務ニュース
労働者代表の選出方法が問われています 〜三六協定・フレックス協定の無効リスクも〜
最近、労働基準監督署の調査において、「労働者代表の選出方法」に関する指摘が増えています。
時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる「三六協定」)やフレックスタイム制の導入に必要な協定は、労働者の過半数代表者との書面協定が前提です。しかしこの「過半数代表者」が、正しい手続きで民主的に選出されていない場合には、協定そのものが無効とされてしまいます。
とくに注意したいのは以下の点です。
①選出は、正社員だけでなくパートやアルバイトも含めた全従業員を対象に行う必要があります
②投票や挙手、話し合いなど、民主的な手続きによって選出されている必要があります
③会社が一方的に指名したり、親睦会の代表などを自動的に当てるのはNGです
④労働基準法第41条第2号に規定するいわゆる管理監督者(執行役員、部長等)は代表者になれません
仮に選出手続きに不備があると、三六協定が無効となり、時間外労働が「協定なしで行われている状態」と見なされることになります。また、フレックスタイム制度も協定が無効とされれば、通常の労働時間制度としての残業計算が必要になります。
形式的な書類の提出だけで安心せず、「労働者代表が適切に選ばれているか?」をいま一度、確認することが重要です。
労務DD関係
労務DDの最初のチェックポイント その③ 「労働時間制度」の設計と実態、ずれていませんか?
「フレックスにしています」「裁量労働なので…」
企業のご担当者様からよく耳にする言葉ですが、本当に制度として成立しているか?
そして「運用が適正か?」は、別の話です。
労務デューデリジェンス(労務DD)では、表面的な制度名や規程の記載だけでなく、“実態”として適法に運用されているかを確認します。
特に「労働時間制度」は、残業代の支払い要否に直結するため、リスクの起点になりやすい領域です。
次のようなケースは、実際の労務DDでよく見られます:
・「フレックスタイム制」と言いながら、フレックスタイム制の協定がない..
・「裁量労働制」を導入していると言うが、対象業務や導入手続きが不明確
・「固定残業制」で運用しているが、固定残業金額が明確でない。固定残業を超えた場合に差額残業代が支給されていない。
・就業規則には「9:00〜18:00」とあるのに、現場では朝8時前から会議が開始されている
いずれも、制度と実態のズレが残業代の未払いリスクにつながる典型例です。
「労働時間制度」=企業の働き方の“土台”
労働時間制度とは、単なるルールではなく、その会社の働き方を支える“土台です。
制度の導入に際しては、以下のポイントが求められます:
・就業規則や労使協定に、制度の要件が正しく明記されているか
・導入手続き(労基署届出など)適正に行われているか
・制度に基づいた実際の運用・管理がされているか
・制度ごとに必要な帳票などが整備されているか
特にスタートアップや急成長企業では、「制度は整っているつもりだったが、運用実態が追いついていなかった」というケースも多く、注意が必要です。
あらためて、“制度と実態”の整合性を見直してみてください。
見た目には柔軟な制度でも、労働時間制度の土台が崩れていると、すべての計算が成り立たなくなります。
制度名だけが一人歩きしていないか。運用が労働基準法の要件を満たしているか。
今一度、就業規則、労使協定、勤怠実績を突き合わせて、制度と実態の整合性をご確認されることをお勧めします。
お知らせ
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当法人はこのたび、福岡証券取引所が運営する「IPOナビゲート」における【IPOサポーター制度】に登録されました。
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