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労務DDで多い指摘事項

労務DDの最初のチェックポイント その② 残業単価のもう一つの落とし穴

 

分子=「割増単価の基礎となる賃金」の注意点

前回の記事では、残業単価を算出する際の“分母”である1ヶ月の平均所定労働時間数について取り上げました。今回は、“分子”にあたる基礎賃金――つまり、どの手当を残業単価の計算に含めるべきかという点について解説いたします。

 

「基本給だけでいい」は要注意

残業単価の算出では、割増賃金の基礎となる賃金を分子として使用しますが、「基本給だけを使えばよい」と誤解されているケースが少なくありません。

 

しかし、労働基準法上は、通常の労働時間または労働日の賃金を基礎とするとされており、**職務手当、営業手当、皆勤手当など“通常支払われる手当”**も、原則として含める必要があります。

 

【よくあるNG例】

例)月給30万円の社員に対し、以下の手当を支給している

基本給:24万円

職務手当:3万円

営業手当:2万円

皆勤手当:1万円

 

→ 残業単価の算出に「基本給24万円」のみを使用していた場合、

本来は 30万円(=全体) を基礎とすべきところを 24万円のみ として計算していることになり、実際の残業単価よりかなり低くなり、未払いが発生している可能性があります。

 

たとえば、残業単価に1,000円の差があったとして、月30時間の残業があれば、月に3万円、年間で36万円の未払いとなるケースもあります。

 

「除外できる手当」は一部のみ

なお、労基法上、割増賃金の基礎から除外できる手当もあります(※労基法施行規則第21条)。代表的なものは以下のとおりです:

 

家族手当

通勤手当(実費支給)

 

住宅手当(一定条件)

臨時に支払われる賃金(例:慶弔見舞金)

1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 

ただし、名称が「家族手当」「住宅手当」であっても、実態が固定支給なら除外できないこともあるなど、判断には注意が必要です。

 

制度上はきちんと整えていても、「誰がどの手当をもらっているのか」「その手当は残業単価に含めて良いのか」といった実務面のチェックが甘いと、思わぬ未払いが生じます。

 

就業規則や賃金規程を再確認するとともに、給与明細の構成と実際の残業単価算出方法が一致しているか、今一度見直されることをおすすめします。

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