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労務コンプライアンス

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労務DDで多い指摘事項

給与計算ミスあれこれ その①クラウド給与計算システムの盲点

労務DD(労務監査)を重ねていると、実に様々なクラウド給与計算システムが存在していることを実感します。また、給与計算担当者であっても設定の詳細を把握しきれていない、あるいは後任の担当者も前任の設定ミスを見抜けていない、ということもよくあります。以下の例は典型的な「システムまかせ」であり、計算結果のイメージができていなかった事例です。

ある会社で定額残業代を導入しており、深夜勤務手当(0.25)・法定休日勤務手当(1.35)が発生した場合には、「別に計算して」支給することになっていました。しかし労務DDに入って確認してみると、深夜勤務手当と法定休日勤務手当が定額残業代に吸収され得るような、以下計算式が設定されており、実際には支払われていなかったことがわかりました。

【給与システム上で設定されていた計算式】
5万円を定額残業代として支給する-①
a 通常計算した残業代(+b 深夜勤務手当+c 法定休日勤務手当)の 合計が5万円を超えた場合には差額を支給する-②

【労務DDで確認された、上記計算式の設定によって起こっていた現象】
⇒ a 30,000円+b 4,000円+c 5,000円という計算結果が出た場合に、総額は39,000円ですから、5万円の中に aからc の手当が全て収まってしまうため、「別に計算して」支給されるはずの b・c の深夜勤務手当と法定休日勤務手当が支払われていませんでした。

計算結果のイメージができていれば、あるいは検算を行っていれば計算式の設定誤りに気付くことができ、修正できたはずが「設定しているのだから大丈夫だろう。」の感覚で数年間にわたって未払賃金が発生していた事例です。

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労務DDで多い指摘事項

在宅勤務者の会社への交通費は通勤手当?

コロナ渦が一段落し、再び以前のように従業員へ出社を求める企業が増え始める一方で、優秀な人材を確保するため、在宅勤務を可とする採用を継続する企業も多数存在しています。

労務DD(労務監査・労務コンプライアンス調査)において、ここ数年の注目調査項目でもあり、また人手不足も健在化し始めているため、これから在宅勤務制度の導入を検討せざるを得ない企業も増えてくることも考えられますので、ここで整理しておきます。

■在宅勤務導入に伴う通勤交通費の考え方

労働契約書上の就業場所
自宅 会社
自宅から会社までの移動 通勤ではない 通勤
自宅から会社までの交通費 旅費 通勤手当
社会保険・労働保険の算定基礎 旅費のため対象外 通勤手当のため対象

ここでのポイントは、本来の就業場所がどこであるかに尽きます。

労働契約書上の就業場所が「自宅」であれば、ミーティングのために会社へ行く場合は通勤手当ではなく、単なる旅費です。

労働契約書上の就業場所が「会社」であれば、自宅から会社までは通勤になりますので、旅費ではなく通勤手当として支給することになります。

『それであれば、全従業員について形式上、就業場所を「自宅」にしてしまえば全て経費として扱えるのではないか』と主張する担当者も中にはいらっしゃいますが、これは脱法的な行為で完全にNGです。

社会保険・労働保険の算定基礎への算入・未算入は従業員の標準報酬月額や労働保険の年度更新に多大なインパクトを与える事例でもあることから、従業員ごとの労働条件の実態により慎重に判断することが重要です。

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