優秀な人材の確保が困難となっている現在において、企業が活発化させている採用活動として、自社の従業員からの紹介によって採用を行う「リファラル採用」があります。労務DD(労務監査)に入ってみると、従業員に対して「社員紹介一時金」といった名目で数十万円を支払うケースを目にする機会が増えてきました。
この制度の実施にあたっては、賃金規程等に規定し、社会保険上の実務手続としても給与(賞与)として賞与支払届を提出し、社会保険料を控除する必要があるのですが、そのどちらも行われていないケースが非常に多く見受けられます。
聞き慣れない法律ですが、職業安定法第40条(報酬の供与の禁止)により、企業がリファラル採用に関するインセンティブを従業員に支払うことは原則違法とされていますが、賃金や給料の形で支払うことは例外として認められているため、賃金規程等に規定しておく必要があります。
《 職業安定法(報酬の供与の禁止)》
第40条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。