労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。労働者が抽象的に拘束されているに過ぎない場合は含まれません。例えば、所定休日に緊急の呼び出しに備えて携帯電話等を所持して自宅待機している場合に、結果的に呼び出しが行われず使用者の指揮命令が直接およばなかったのであれば、別段の合意がある場合を除き賃金・手当の支払い義務はありません。
自宅における待機時間につき、労働時間には当たらないとした裁判例
(高裁:奈良県(医師時間外手当)事件)
自主的に宅直当番を決め、宿日直の医師1名では対応が困難な場合に宅直医師が協力して診療を行う宅直制度について、医師が自主的に宅直勤務を申し合わせて定められたものであり、宅直当番に当たる医師の名前が使用者に報告されることは無かったこと、呼び出し回数は年6~7回と少ないこと、使用者が明示または黙示の業務命令を発したとは認められないとして、待機時間にかかる労働時間性を否定。