最近、労働基準監督署の調査において、「労働者代表の選出方法」に関する指摘が増えています。
時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる「三六協定」)やフレックスタイム制の導入に必要な協定は、労働者の過半数代表者との書面協定が前提です。しかしこの「過半数代表者」が、正しい手続きで民主的に選出されていない場合には、協定そのものが無効とされてしまいます。
とくに注意したいのは以下の点です。
①選出は、正社員だけでなくパートやアルバイトも含めた全従業員を対象に行う必要があります
②投票や挙手、話し合いなど、民主的な手続きによって選出されている必要があります
③会社が一方的に指名したり、親睦会の代表などを自動的に当てるのはNGです
④労働基準法第41条第2号に規定するいわゆる管理監督者(執行役員、部長等)は代表者になれません
仮に選出手続きに不備があると、三六協定が無効となり、時間外労働が「協定なしで行われている状態」と見なされることになります。また、フレックスタイム制度も協定が無効とされれば、通常の労働時間制度としての残業計算が必要になります。
形式的な書類の提出だけで安心せず、「労働者代表が適切に選ばれているか?」をいま一度、確認することが重要です。